新製品開発・販路開拓物語



2. 自然流炭焼き窯「炭焼き達人」

手崎 貴之氏株式会社テサキ製作所(代表取締役 手崎 貴之氏)は、平成2年4月より東大阪市で産業用機械、電気機器のフレームやカバーの板金加工の下請けの町工場としてスタートした。創業当時は、草創期でバブル景気の波にうまく乗れず、バブル崩壊後は不景気とデフレとで右往左往の時期が長く続いた。
当時、自社で使用する鉄板やステンレス板が入荷するたびに、材料の下に敷いてあるパレット木材を市の焼却場で処分していたが、ある時手崎氏は「パレット木材といえども木材は、数十年もの間、森で地球上の二酸化炭素を吸収してくれていたのに、このような木材を焼却処分するとまた多くの二酸化炭素を排出することになる。何とか有効に利用できないものか…」と考えた。

そして一つのアイデアが浮かんだ。「当社の板金・溶接技術で、焼却処分される運命の木材を炭にする炭焼き窯を開発しよう!」早速、炭焼き窯を試作したが、結果は炭にも灰にもならなかった。その後、岐阜県や岡山県の炭焼きの現場に赴き、炭焼き窯に関する指導を受けながら、試作に試作を重ね、5年の研究開発を重ねた結果、平成15年「炭焼き窯の研究開発商品化及び販路開拓」で経営革新支援法の承認を受け、翌16年に小型ながら家庭や小グループで使用できる本格的な小型炭焼き窯「炭焼き達人」を完成させた。

「炭焼き達人」は化石燃料を使用しないで少しの薪で焚付けるだけの環境にやさしい炭焼き窯で、特殊な構造により良質な黒炭を作り出すことができること等から評判も上々で、遠方からも注文が入っている。平成17年には、地球環境をテーマにした愛知万博の市民パビリオンに出品し、「炭焼きはいつでも何処でも誰でもできる唯一の炭素の固定手段」、「炭焼きは地球を救う!」と新しい炭文化を訴え多くの来場者から賛同を得た。 炭は消臭や調湿用としても活用され、いが栗や松ぼくりの炭等、観賞も兼ねて使用できることから注目を浴びつつあるが、「まだ環境への貢献も含めた『炭の文化』は定着していない。炭のファンを広めたい。」と手崎社長は意気込む。

現在、自ら先頭にたち竹林整備のボランティアをし環境問題への取り組みを実践している。今後子供達にも炭焼きの大切さを伝えていきたいと考える。 また、東大阪市モノづくりクラスター推進事業「新製品開発・新市場開拓研究会」へは、17年7月より参加されている。このWebサイトの製品紹介を通じて海外からも引き合いが入っており、コーディネーター(サブ・クラスターマネージャー)等のサポートを得ながら販路開拓を進めている。
「地球温暖化の原因となる二酸化炭素を吸収してくれた庭木や果樹の手入れ後の剪定枝、森林・竹林整備からの間伐材、建築端材等を炭にして床下調質炭にしたり、土壌改良剤等の資源として有効利用し、地球温暖化を少しでもくい止めることができると思っています。」と手崎社長。  そして「『製造業と環境保全の共存』を考えたモノづくりをこれからも目指していきます。」と熱く信念を語られた。